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第126回

2018.11.18 (Sun.)

13:15~16:30

​[※日曜開催です。ご注意ください]

第一部 発  表
 屋良 朝彦
 多声性と祝祭性、ミメーシス:精神障碍者との対話のための哲学的考察

               

 精神障碍者との地域共生社会推進のためには、障碍者との直接的なコミュニケーションが不可欠である。しかし、多くの人がその実践(対話)に不安を感じているのではないか? 本発表では、その対話の技法として、近年注目されているオープンダイアローグを紹介し、その理論的背景にあるバフチンの多声性と祝祭性という概念を分析する。さらにその哲学的基盤として、精神医学哲学者のミケル・ボルク=ヤコブセンのミメーシス概念を分析する。本発表において、対話というものが、(障害のゆえに一旦は我々の共同体から疎外された)障碍者を、我々の共同体に(再び)迎え入れるためのイニシエーションという儀式となり、そこにおいて我々迎接する側も自ずと変化することになる、ということが明らかになるであろう。

【参考文献】

  • 斎藤環(2015). 『オープンダイアローグとは何か』, 医学書院. 

  • ミハイル・バフチン(1965/1990). 川端香男里訳, 『フランソワ・ラブレーの作品と中世・ルネサンスの民衆文化』, せりか書房.

  •  Mikkel Borch-Jacobsen(1991). Le lien affectif, Aubier. 

第二部 発  表
 城戸 淳
 遺稿の第三アンチノミー解決 ── カントの自由論への補助線として

カントの『純粋理性批判』(1781/87年)の第三アンチノミーは、近代科学的な世界像のなかで人間の自由と道徳を救済する試みとして哲学史上に名高い。カントは、超越論的観念論の二元論に基づいて、一つの行為を叡知的性格と経験的性格という二つの性格のもとで捉えることで、自由と決定論とを両立させようと試みる。

 その試みに対しては、カントの当時から現代に到るまで、さまざまな方面から非難が加えられてきた。ところが困ったことに、『批判』のカントは、それらの非難に答えるための道具立てを用意してくれないどころか、超越論的観念論の教説を楯にいっさい門前払いという態度なのである。

 カントの「手書きの遺稿」のなかに、おそらく『批判』の準備中に、人間の自由について考察した一連の断片が遺されている(R 5611 - 5620, XVIII 252 - 259)。『批判』ではいわば超越論的観念論という大看板によって覆い隠されてしまった、啓発的とも未熟ともいえる試論的な構想が、この「遺稿」には含まれており、第三アンチノミー解決の自由論の奥行きを再構成するための補助線として役に立つ。

 本発表では、「遺稿」に即しつつ、(1)動機系列の無限性がもたらす行為のアプリオリな非決定性と、(2)その非決定的な行為を宇宙論的に選択する知性の方向決定の役割を見届けたのち、(3)そうした自由論の構想を理性による性格の形成という観点から把握しなおすことにしたい。

 

【参考文献】

  • Kant’s gesammelte Schriften, Bd. XVIII, hrsg. v. der Preußischen Akademie der Wissenschaften, Berlin et al.: Walter de Gruyter, 1928.

【日時】
2018.11.18(日)

[※日曜開催です。ご注意ください]
13:15~16:30

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【場所】

湯島地域活動センター 多目的室
会場詳細

《会場のご案内》
・湯島地域活動センターは、東京大学本郷キャンパスの隣にある文京区の施設です。
・入り口には「文京総合体育館」と書いてありますが、その建物のなかに地域活動センターがあります。
・「文京総合体育館」の1階正面玄関から入って、そのまま真っすぐ進みます。つきあたりが、多目的室です。

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​【来場の手引き】

・都営地下鉄大江戸線・東京メトロ丸の内線

「本郷三丁目」駅より徒歩7分程度。

​・東京メトロ千代田線「湯島」駅より徒歩12分程度。

(駅からのルートにつきましては、

お手数ですが地図をご確認ください。)​

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※参加無料

※皆様ご自由にご参加ください。

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​【関連リンク】

 

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